腐敗した政治家、狂熱的な民族主義者、その他の戦争煽動勢力が、隣国オスタニアとウェスタリス間の薄氷の平和を絶えず脅かしている。それらの陰謀にもかかわらず、名高いスパイで変装の達人「トワイライト」は、どんな子供も戦争の恐怖を経験しないようにとの願いを胸に、危険な任務を次々と遂行していく。
オスタニアの賑やかな都市ベーリントで、トワイライトは高名な精神科医「ロイド・フォージャー」という偽名を名乗る。しかし、彼の真の目的は、有力政治家ドノバン・デズモンドに関する情報を集めることだ。ドノバンは、息子たちが通う名門校イーデン校にしか滅多に公の場に現れない。未婚の市役所職員ヨル・ブライアーを妻役に、好奇心旺盛な6歳の孤児アーニャを娘として養子に迎え、ロイドは大計画を実行に移す。アーニャをイーデン校に入学させ、優秀な成績を収めさせることで、疑われることなくドノバンと会う機会を得ようと目論むのだ。
ロイドにとっては、その才能をもってしても、愛情深い父であり夫であるという役割を演じるのは難しい。そしてロイドが正体を隠しているように、地下組織の殺し屋「いばら姫」であるヨルと、人の心を読める超能力者アーニャも、それぞれの秘密を明かすつもりはない。この絵に描いたような家族は偽りの上に成り立っているが、フォージャー家は次第に、お互いへの愛情が何よりも大切であることを理解していく。